腹腔鏡避妊手術と開腹手術との違い
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術後の痛みの軽減
いくつかの報告では一般的な不妊化手術と内視鏡(腹腔鏡)手術を比べた結果、手術後の痛みが軽減したとされています。これはペインスコア(痛みの表現をスコアリングしたもの)で示され、いくつかの研究機関に渡って報告されています。
HANCOCK ET AL., 2005 より改変
手術後の活動性
手術を行うと痛みや不快感から動物はどうしても元気をなくしてしまいます。不妊化手術において、術前と術後での活動性(元気さ)がどのように変化するか調べた報告があります。手術を受ける犬の術前の動きをセンサーを使って調べ、その犬が手術後48時間にどのように変わるのかを記録しました。結果、開腹手術では手術前に比べて活動性は平均38%、つまり術前に比べて3分の1の動きしかなくなってしまいました。元気は68%減少したのです。一方、腹腔鏡手術では術後の活動性は75%、手術前の3分の2となりました。これは術前より25%の減少に留まったのです。これからも腹腔鏡手術では動物に与える負担を減らせる可能性が考えられたのです。
CULP ET AL., 2009より改変
猫での不妊化手術
犬での腹腔鏡による不妊化手術での報告はいくつか出されていましたが近年になり猫での報告もされるようになっています。猫は小さな体ですが、犬と同様に腹腔鏡で不妊化手術を行うことが可能です。そして同様に開腹手術に比べて腹腔鏡手術では負担が軽くなることが示されています。(GAUTHIER ET AL., 2013、グラフは改変)