腹腔鏡手術と開腹手術を比べたデータ
2026年8月現在
腹腔鏡での避妊手術と、お腹を開ける開腹手術を比べた研究が報告されています。ここでは犬の術後の痛み・手術後の動き・猫での比較の3つを、グラフでご紹介します。
なぜ差が出るのかという仕組みのお話は、腹腔鏡で避妊手術をする理由にまとめています。
1犬の術後の痛み
ビーグル16頭を腹腔鏡手術と開腹手術に分け、手術後72時間まで痛みの点数(ペインスコア)をつけて比べた研究です。点数は開腹手術のほうが、測定したすべての時点で高いという結果でした(Hancockら, 2005)。
犬16頭。手術後2〜72時間のペインスコア(Hancockら, 2005 より改変)
2犬の手術後の動き
手術をすると、痛みや不快感からどうしても元気がなくなります。そこで体重10kg未満の小型犬20頭の首に活動量を測るセンサーをつけ、手術の前と後でどれだけ動きが変わるかを調べた研究があります(Culpら, 2009)。
手術前の動きを100%としたとき、手術後48時間の活動量は開腹手術で38%まで落ちました。62%減ったことになります。一方腹腔鏡手術では75%で、落ち込みは25%にとどまりました。
3猫でも同じ傾向が出ています
犬での報告が先行していましたが、近年は猫でも報告されるようになりました。猫は体が小さいのですが、犬と同じように腹腔鏡で避妊手術を行うことができます。
猫60頭を、お腹の正中を切る開腹手術・脇腹を切る開腹手術・腹腔鏡手術の3つに分け、手術後12時間まで痛みを評価した研究です(Gauthierら, 2014)。2種類の開腹手術はいずれも腹腔鏡手術より点数が高く、時点によって5〜20%の猫に強い痛みが見られました。一方、腹腔鏡手術のグループには強い痛みを示した猫が1頭もいませんでした。
下の2つのグラフは、同じ20頭ずつの内訳を並べたものです。色は痛みの強さを表しています。
4これらの数字を読むときに
ここでご紹介した研究は、16頭・20頭・60頭という規模のものです。すべての犬種・年齢にそのまま当てはまる数字ではありません。また痛みの「強さ」の表し方は、それぞれの研究の測り方によります。
これらの研究では、腹腔鏡手術のほうが手術時間は長くなっています。良いところだけの手術ではありません。
手術時間をはじめとした弱いところと、当院がどう対応しているかは腹腔鏡手術のデメリットのページにまとめています。
もっと詳しく
痛み・ストレス・胃腸の回復・癒着・傷のトラブルなど、報告されている内容をまとめています(専門サイト)
猫の避妊手術について、もう少し詳しくご説明しています
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参考文献
- Hancock RB, Lanz OI, Waldron DR, Duncan RB, Broadstone RV, Hendrix PK. (2005) Vet Surg 34(3):273-282. 犬の腹腔鏡下卵巣子宮摘出術と開腹手術の術後疼痛の比較。論文はこちら
- Culp WTN, Mayhew PD, Brown DC. (2009) Vet Surg 38(7):811-817. 小型犬における腹腔鏡下卵巣摘出術と開腹卵巣摘出術の術後活動量の比較。論文はこちら
- Gauthier O, Holopherne-Doran D, Gendarme T, Chebroux A, Thorin C, Tainturier D, Bencharif D. (2014) Vet Surg 44(Suppl 1):23-30. 猫における腹腔鏡・正中開腹・側方開腹による卵巣摘出術後の疼痛の評価。論文はこちら
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