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クウ動物病院 動物内視鏡医療センター  TEL: 06-6967-8668
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内視鏡手術の費用と設備について、よくあるご質問

2026年8月現在

「手術を受けさせてあげたい。でも、費用のことが気になる」——そう感じられる飼い主さんは多いと思います。

内視鏡手術(腹腔鏡手術)は、開腹手術と比べて費用が高くなってしまいます。手術には、次のようなものがそれぞれかかります。

術前の検査

麻酔と手術に耐えられる状態かを確かめます

どこまで調べるかご相談します

麻酔

手術のあいだ、眠って痛みを感じない状態を保ちます。痛みに弱い子には、術中・術後の痛みの管理を手厚くします

体格・全身状態・痛みへの強さに合わせて方法を選びます

ご希望に応じて、麻酔科医による全身管理も

手術

内視鏡手術か、開腹手術か

どちらが向いているかご相談します

入院

手術のあと、状態が落ち着くまでお預かりします

日帰りにするかご相談します

術後のケア

お薬や、傷を舐めないための術後服など

必要なものをご相談します

どれも必要なものですが、その中身は、ご希望を伺いながら一緒に決めていきます。診察のうえで、おおよその費用もあわせてお伝えします。

まずは、なぜ内視鏡手術の費用が高くなってしまうのか、その理由からご説明します。

Q内視鏡手術の費用は、何で決まるのですか

同じ手術名でも、費用は一定ではありません。おもに次のような点で変わります。

  • 体格(体重によって、麻酔薬の量も使用する器材の大きさも変わります)
  • 手術の方法(同じ臓器でも、状態によって選ぶ方法が変わります)
  • 他の処置を同時に行うかどうか
  • 術前の検査で分かった全身状態と、麻酔の管理に必要な体制
  • 予定して行う手術か、緊急の手術か

とくに緊急の手術では費用が上がってしまいます。たとえば臓器が破裂して腹膜炎を起こしているような状態では、手術そのものに加えて集中的な管理が必要になるためです。同じ病名でも、待って行う手術と、その日のうちに行う手術では内容が変わります。

「手術費用」に含まれる範囲

当院では、手術の費用は手術そのものの費用としてご案内しています。術前の検査・麻酔・入院・お薬などは別途です。

ただし避妊手術は、手術と麻酔をまとめたセットの費用としてご案内しています。

このように、同じ「手術費用」という言葉でも、中に何が入っているかは手術によっても病院によっても違います。金額だけを並べても比較にはなりにくい、というのが正直なところです。何が含まれていて何が別途になるかは、診察のときにご説明します。

Qどんな設備で手術をしているのですか

内視鏡手術には、手術専用の部屋と、内視鏡のカメラ・モニター・気腹装置・血管を閉じる装置など、開腹手術では使わない機材が必要になります。これらは導入するだけでなく、洗浄・滅菌・点検・修理を続けていく必要があります。費用が高くなってしまう理由の大きな部分が、ここにあります。

内視鏡手術に対応した当院の手術室
内視鏡手術を行う手術室

当院では、内視鏡の器材をすべて2台以上そろえています。これは予備を置いているという意味だけではありません。

  • 手術の途中で器材に不具合が出ても、手術を中断せずに続けられます
  • ご兄弟のわんちゃん・ねこちゃんを、同じ日に続けて手術できます

また、血管を閉じる装置(エネルギーデバイス)も複数用意しています。理由は次の項目でご説明します。

Q使っている器械の名前は書かないのですか

書いていません。理由をご説明します。

手術に使う機器には、動物用として承認されたものと、そうでないものがあります。内視鏡手術で使う機材は人体用として作られたものが多く、動物用として承認されたものばかりではありません。人体用の機材はそのぶん実費もかかります。

動物用として承認されていない機器について、その効き目とともに製品名を挙げて広く知らせることは、適切ではないと当院は考えています。ですので、ホームページには製品名や型番を書いていません。

診察の場でお尋ねいただければ、何をどのように使っているかはすべてお答えします。隠しているのではなく、書き方を選んでいるとお考えください。

Q動物によって器具を使い分けるのですか

はい。使い分けています。

2kgの猫と30kgの犬では、お腹の広さも、血管の太さも、組織の性質も違います。同じ器具がどちらにも最適ということはありません。その子の体格と組織に合わせて選べるように、複数を用意しています。

 体格の異なる小型犬・大型犬・猫

体格によって、選ぶ器具が変わります

つまり当院が器材を複数そろえているのは、ある器械が他より優れているからではなく、動物ごとに選べるようにするためです。ここは次の項目とも関わります。

Q特定の器械を使うと炎症が少ない、と聞きましたが

この点は、報告されていることを順にご説明したほうがよいと思います。

昔は、体内で吸収されない糸(絹糸など)が手術に使われていました。この場合、手術から数年後に、糸に対する反応としてしこり(肉芽腫)や膿のたまりができることが報告されています。ある報告では、手術の2年後に9cmの塊ができ、取り出して調べたところ中に絹糸が残っていました(Bozaら, 2010)。別の報告では、5年後に卵巣のあった場所のしこりが尿管を巻き込んでいました(Kanazonoら, 2009)。

ただし、現在使われている吸収糸では事情が違います。犬43頭で、糸で結んだ場所を毎月超音波で追いかけた報告では、およそ4か月で糸は吸収されて見えなくなり、組織の反応も確認されませんでした(da Mota Costaら, 2019)。「糸を使うかどうか」は、いまはもう大きな差ではありません。

では、何が差になるのか

はっきり差が出ているのは、お腹を開けるかどうかのほうです。猫27頭を3つの方法に分けて比べた報告があります(Guadalupiら, 2026)。手術のあとに痛み止めを追加する必要があった猫は——

  • 糸で結ぶ開腹手術 … 9頭中7頭
  • 装置を使う開腹手術 … 9頭中7頭
  • 腹腔鏡手術 … 9頭中1頭

開腹手術どうしでは、器械を変えても差が出ていません。

ですので当院は、器械の種類そのものを選んでいただく理由にはしていません。動物の負担が変わるのは、器械よりも手術の方法(アプローチ)だと考えています。

Q内視鏡手術のデメリットは何ですか

良いところだけをお伝えするわけにはいきませんので、弱いところも書いておきます。

一つは、慣れるまでに経験が必要だという点です。開腹手術より習熟に時間がかかり、経験の少ないうちは手術時間が長くなります。麻酔の時間が延びること自体は、負担が増える方向に働きます。

もう一つは、お腹の中を炭酸ガスでふくらませて手術するという点です。ふくらませている時間が長いほど心臓と肺への影響は大きくなります。ただしその影響は一時的なもので、麻酔が終わるまでに回復したと報告されています(Shihら, 2014)。

また、内視鏡手術であれば必ず痛みが少ない、というわけでもありません。傷を1か所にまとめる方法で行った報告では、開腹手術と痛みに差が出ませんでした(Coismanら, 2014)。同じ「腹腔鏡」でも、やり方によって結果が変わります。

そして開腹手術には、手術時間が短く、特別な器具を必要としないという良さがあります。どちらがその子に向いているかは、状態やご家族のお考えによって変わります。

Q手術を担当するのは誰ですか

院長が執刀し、内視鏡手術に慣れたスタッフとのチームで行っています。

前の項目で「慣れるまでに経験が必要」と書きました。これには目安があります。

犬618頭の手術を解析した報告では、これから腹腔鏡を始める術者は、およそ80例で手術中の合併症が低い水準に落ち着くとされています(Pope・Knowles, 2014)。すでに腹腔鏡に慣れた術者が新しい方法を覚える場合には、約8例という報告もあります(Rungeら, 2014)。

当院は2006年に腹腔鏡機器を導入して以来20年、内視鏡手術に取り組み、内視鏡手術全体でこれまでに1,000件以上を行ってきました。先ほどの80例という目安は、大きく超えています。

同じ手術でも、術者とチームがどれだけ経験を重ねているかによって結果が変わりうる、ということでもあります。設備をそろえることと同じくらい、こちらも費用に関わる部分です。

Q費用について、もっと具体的に知りたいときは

このページでは金額を掲載していません。その子の状態によって内容が変わるため、目安の金額だけが独り歩きすることを避けたいと考えているからです。

診察と検査の結果をふまえて、手術の前におおよその費用をお伝えします。そのうえでご検討いただけます。ペット保険をお使いの場合は、補償の割合だけでなく手術1回あたりの限度額が決まっていることが多いため、あわせてご確認いただくと安心です。

「この子は内視鏡手術ができるのか」「うちの子でも大丈夫か」といったご相談は、診察としてお受けしています。実際に診させて頂いたうえで、その子に合った方法と費用をご提案します。

参考文献

  • Boza S, Lucas X, Zarelli M, Soler M, Belda E, Agut A. (2010) Reprod Domest Anim 45(5):934-6. 犬の子宮摘出後に絹糸が原因で生じた晩発性膿瘍の1例。論文はこちら
  • Kanazono S, Aikawa T, Yoshigae Y. (2009) J Am Anim Hosp Assoc 45(6):301-4. 避妊済みの犬における肉芽腫による尿管の部分閉塞と水腎症の1例。論文はこちら
  • da Mota Costa MR, de Abreu Oliveira AL, de Moura Vidal LW, et al. (2019) Vet Rec 184(15):478. 犬の卵巣茎結紮における吸収性デバイスと縫合糸の肉眼的吸収期間の比較。論文はこちら
  • Guadalupi M, Piemontese C, Stabile M, et al. (2026) Vet Res Commun 50(2):97. 猫における縫合結紮・バイポーラシーリング装置を用いた開腹卵巣摘出術と腹腔鏡下手術の比較。論文はこちら
  • Shih AC, Case JB, Coisman JG, et al. (2014) Vet Surg 44(Suppl 1):2-6. 猫の腹腔鏡下卵巣摘出術における気腹時間と心肺への影響。論文はこちら
  • Coisman JG, Case JB, Shih A, et al. (2014) Vet Surg 43(1):38-44. 猫の単孔式腹腔鏡下卵巣摘出術と開腹卵巣摘出術の比較。論文はこちら
  • Pope JFA, Knowles TG. (2014) Vet Surg 43(6):668-677. 犬618頭における腹腔鏡下卵巣摘出術の習熟曲線と周術期合併症率。論文はこちら
  • Runge JJ, Boston RC, Ross SB, Brown DC. (2014) J Am Vet Med Assoc 245(7):828-835. 認定獣医外科医が行う単孔式腹腔鏡下卵巣摘出術の習熟曲線の評価。論文はこちら

ご相談ください

内視鏡手術の費用や設備について、もっと詳しく知りたいことがあれば、お気軽にご相談ください。おおよその費用は、診察のうえでお伝えします。

はじめてご来院の方は 初診の患者さんへのご案内 もあわせてご覧ください。初診問診票を事前にご記入いただくと、当日の受付がスムーズです。

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