大阪市鶴見区鶴見3−12−25

 診療時間 10:00ー12:30/16:30ー18:30 水曜休診

TEL: 06-6967-8668

shutterstock_337520018.jpg shutterstock_621664817.jpg
クウ動物病院 動物内視鏡医療センター  TEL: 06-6967-8668
診療時間 10:00-12:30/16:30-18:30 水曜休診
外科 #猫 #膀胱結石 #ストルバイト

猫の膀胱結石——種類によって、対応はまったく違います

公開日: 2026年9月吉日 / 執筆・監修: クウ動物病院 動物内視鏡医療センター

「膀胱結石」は1種類ではありません

猫の膀胱結石とひとことで言っても、結石の種類によって、食事で溶けるかどうか・手術が必要になりやすいかどうかがまったく異なります。「様子を見ましょう」と言われて食事療法を続けているけれど、なかなか良くならない、というご相談を受けることも少なくありません。

このページでは、猫に多い結石の種類ごとの違いと、当院がどのような場合に手術をおすすめしているかをご説明します。

ストルバイト結石——食事で溶けることがあります

猫の膀胱結石で多くみられるのが、ストルバイト(リン酸マグネシウムアンモニウム)です。尿を酸性化する療法食で溶けることがあり、まずは食事療法から試すことが一般的です。実際に、ストルバイト結石の猫を対象にした研究では、専用の療法食を与えた猫の多くで結石が溶け、その大半が1ヶ月以内に溶けきったと報告されています(Tefft et al., 2020)。

ただし、結石が膀胱の粘膜にくっついてしまうと、食事療法だけではなかなか溶けきらず、血尿が長引いてしまうことがあります。当院で経験した実際の例は、こちらの症例記事でご紹介しています。

高カルシウム性・シュウ酸カルシウム結石——溶けない結石もあります

一方で、シュウ酸カルシウムを主体とする結石は、食事療法では溶けません。猫の膀胱結石のおよそ4〜5割はこのタイプとされており(Bartges, 2016)、血液中のカルシウムが高い状態(高カルシウム血症)が背景にある場合もあります。この種類の結石は、1つだけでなく複数(多発)することも珍しくありません。

猫の腹部レントゲン、膀胱内に多数の小さな結石が確認できる画像

※当院で撮影したレントゲン画像です(ショートヘアの猫)

レントゲンでは、このように膀胱の中に細かい結石が無数に写ることがあります。このタイプの結石は溶かすことができないため、大きさや症状によっては手術での摘出をおすすめしています。

結石の数が多い場合、お腹を開く手術(開腹)では見える範囲に限りがあり、すべてを完全に取り除くのが難しいことがあります。当院では、膀胱鏡を使って内部を直接確認しながら摘出することで、取り残しをできるだけ防ぐようにしています。

膀胱鏡で確認した猫の膀胱内の多数の結石の画像

※同じ猫の、実際の内視鏡(膀胱鏡)画像です

内視鏡(膀胱鏡)を膀胱の中に入れると、黄色っぽい結石が、粘膜を覆うように無数に確認できます。このように数が多い場合、1つずつ確実に取り残しなく摘出することが重要になります。

吸引管で結石を吸引しようとしている膀胱鏡下の画像

※実際の摘出処置中の内視鏡画像です

結石が多数あるために粘膜が傷つき、出血を伴っていることも珍しくありません。当院で使用している吸引管は直径およそ3mmで、これを使って結石を1つずつ吸い取っていきます。

吸引管の先端が微細な結石をとらえている膀胱鏡下の画像

※実際の摘出処置中の内視鏡画像です

吸引管そのものの太さは3mmほどですが、その中を通して1mmに満たないような微細な結石まで吸い取ることができます。目で直接確認しながら1つずつ丁寧に吸引していくことで、開腹によらず、細かい結石まで取り残しなく取り除くことができます。当院で経験した別の症例もこちらの症例記事でご紹介しています。

尿検査だけでは分からないこともあります

結石の種類は、尿検査で結晶の有無を調べることである程度推測できます。ただし、尿検査だけですべての結石の種類が分かるわけではありません。症状が続いているにもかかわらず尿検査では手がかりが乏しい場合には、レントゲンや超音波検査などをあわせて行い、総合的に判断しています。

当院の考え——血尿や痛みがあるなら、先延ばしにしない

結石によっては、食事療法を続けながら経過をみるという選択も間違いではありません。ただ、食事療法だけを続けているうちに、血尿や排尿時の痛みが長期化してしまうケースを見ることがあります。猫は痛みを表に出しにくい動物なので、飼い主様が気づかないうちに不快な状態が続いていることも少なくありません。

当院では、血尿や痛みを伴う症状が続いている場合は、内科治療の効果を漫然と待ち続けるのではなく、検査や手術も含めて早めに検討することをおすすめしています。これは当院の考え方であり、すべての結石に手術が必要という意味ではありません。今のまま様子を見ていて良いのか気になる場合は、一度検査を受けていただくことをおすすめします。

手術の判断基準

当院で手術をおすすめする目安は、結石が尿道のサイズより大きく、尿道に詰まるリスクがある場合、または血尿や排尿時の痛みなどの症状がある場合です。猫は尿道が細いため、結石が大きくなってから詰まってしまうと緊急の処置が必要になります。手術の方法については膀胱結石の手術のページで詳しくご説明しています。結石が尿道まで移動して詰まってしまった場合は猫の尿道閉塞についてのページもあわせてご覧ください。

参考文献

  • Bartges JW. (2016) J Feline Med Surg 18(9):712-22. 猫のシュウ酸カルシウム尿石症のリスク因子と合理的な治療アプローチ(総説)。論文はこちら
  • Tefft KM, Byron JK, Hostnik ET, et al. (2020) J Feline Med Surg 23(4):269-77. ストルバイト尿石症の猫における溶解食の効果。論文はこちら

当院でのご相談

血尿や排尿の異常が続いている、食事療法を続けているが改善しない、という場合はご相談ください。検査の結果をもとに、今後の方針をご提案します。

はじめてご来院の方は 初診の患者さんへのご案内 もあわせてご覧ください。初診問診票を事前にご記入いただくと、当日の受付がスムーズです。

その他の記事

HOME | コラム | 猫の膀胱結石——種類によって、対応はまったく違います