犬の吐血!?原因と考えられる病気、内視鏡検査について
公開日: 2026年7月26日 / 執筆・監修: クウ動物病院 動物内視鏡医療センター
嘔吐したけど大丈夫?
犬は人よりも嘔吐しやすい動物なので、一時的な胃の不調などで吐くことも少なくありません。ただ、何度も吐き続けたり、吐いたものに血が混じる、元気や食欲が落ちているといった場合は、胃や腸に炎症が起きている可能性や、他の病気が隠れていることがあります。
必要に応じてお腹の検査や血液検査を行い、原因を詳しく調べます。治療は吐き気を抑えるお薬や胃を休ませる食事で、多くの場合は回復が見込めます。症状の経過を一緒に見守りながら、必要な処置を進めていきます。単発の嘔吐は軽度の胃腸炎でも起こり得ますが、頻回嘔吐や全身状態の悪化を伴う場合は重篤な疾患の可能性があり、迅速な診断・治療が必要です。
胃腸の問題
- 食餌性(異物摂取など)
- 急性・慢性胃炎
- 胃潰瘍、腫瘍
- 腸閉塞、腸重積
全身性疾患・感染・その他の原因
- 腎不全、肝不全など(全身性疾患)
- ウイルス性腸炎(パルボなど)、寄生虫(回虫、鞭虫)
- 中毒(チョコレート、キシリトールなど)、薬剤(NSAIDs、抗生剤など)
- 前庭疾患、脳疾患(腫瘍、炎症)などの神経系の原因
吐血について
頻回の嘔吐によって食道の粘膜が傷つき、軽度の出血を起こすことがあります。その際には吐物に少量の血液が混ざるようになります。しかし、それが続いたり、血液の量が多くなるなどの変化がある場合は注意が必要です。
胃潰瘍や胃炎、薬の影響、腫瘍などで胃に傷ができて出血することがあります。吐いた血は赤色だったり、コーヒーのような色になっていることがあり、便に混じると消化されて黒くなります。黒色便(メレナ)と吐血(hematemesis)は、いずれも上部消化管出血の症状であり、両者は同じ出血源(主に胃・十二指腸)に由来することが多く、密接な関連があります。
胃の粘膜が傷つき、出血を起こしている状態。
主な原因:
- NSAIDsやステロイドの副作用
- 胃潰瘍、腫瘍、腎不全、肝疾患
- 重度のストレスやショック(ストレス潰瘍)
- 黒くタール状の便で、上部消化管(胃や十二指腸など)からの出血を示唆
- 出血した血液が胃酸で変化し、黒くなる
- 多くの場合、胃潰瘍や出血性胃炎が原因
- 少量の出血でも、継続的であればメレナとなることがある
どちらか一方しか見られない場合でも、上部消化管からの出血の証拠である可能性があります。血と黒色便の両方がある場合、出血の持続または量が多いと考えられるため、重症度が高い可能性があります。このような場合には内視鏡検査などが必要になる場合もあります。
実際の症例: 胃に出血が認められた犬の内視鏡画像
嘔吐もなく、食欲もありましたが、黒い便をすることと貧血がみられたため、内視鏡検査を行った症例です。
当院でのご相談
嘔吐に血が混じる、黒い便が出る、といった症状がみられた場合は、様子を見ずにご相談ください。当院では血液検査・画像検査に加え、消化管内視鏡による精密な検査も可能です。慢性的な嘔吐でお困りの場合は別記事「犬・猫の慢性嘔吐の原因と受診の目安」もあわせてご覧ください。
はじめてご来院の方は 初診の患者さんへのご案内 もあわせてご覧ください。初診問診票を事前にご記入いただくと、当日の受付がスムーズです。