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クウ動物病院 動物内視鏡医療センター  TEL: 06-6967-8668
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内視鏡医療 #催吐 #誤飲 #アポモルヒネ

犬の催吐(吐かせる処置)とは?方法・薬剤・リスクを解説

公開日: 2026年7月27日 / 執筆・監修: クウ動物病院 動物内視鏡医療センター

嘔吐する犬

「催吐(さいと)」とは、誤って飲み込んでしまったもの(誤飲物)を、薬剤を使って吐き出させる処置のことです。犬や猫が誤飲をしてしまった際、動物病院での対応の選択肢の一つとして行われます。

誤飲に気づいた直後にまず何をすべきか、すぐ受診すべきサインの見分け方などは、別記事「犬・猫が誤飲したら?今すぐの応急対応と受診の目安」で解説していますので、まずそちらもあわせてご覧ください。なお、ご家庭での自己判断による催吐は危険ですので、絶対に行わないでください。

病院で行う催吐処置について

動物病院で行う催吐処置は、誤飲直後の対応として有効な選択肢の一つです。ただし、すべての誤飲に適しているわけではなく、対象物の形状・性質や誤飲からの経過時間、動物の全身状態を踏まえて、行うかどうかを判断します。

催吐が選択肢になりやすいもの

  • 丸みのある、比較的小さな異物
  • 誤飲直後の薬物・毒物(チョコレート、キシリトールなど)

催吐が適さない・注意が必要なもの

  • 先の尖ったもの、鋭利なもの(吐き戻す際に食道や口を傷つける危険)
  • 強酸・強アルカリ性の薬品など、腐食性のあるもの
  • 石油系の製品など(誤嚥すると重篤な肺炎を起こしやすい)
  • すでにぐったりしている、意識がはっきりしないなど全身状態が悪い場合

当院で使用する薬剤: アポモルヒネとクレボル(ロピニロール点眼液)

催吐に使われる薬剤にはいくつか種類がありますが、当院では主に「アポモルヒネ」と「クレボル(ロピニロール点眼液)」の2種類を使用しています。体格や性格、誤飲したもの、全身状態に応じて使い分けています。

アポモルヒネ(注射)

静脈内に注射する薬で、催吐薬の中でも最も速効性が高く確実な方法です。海外の複数の研究では、成功率は88〜99%程度、吐き始めるまでの時間は中央値で約1〜2分と報告されています。静脈からの投与が難しい場合は、鼻からの投与でもほぼ同等の効果が得られるとされています。

クレボル(ロピニロール点眼液)

目に点眼するだけで催吐を促せる薬で、注射を嫌がる子にも負担が少ない方法です。健康な犬を対象にした研究では、静脈内注射のアポモルヒネと同程度の成功率(100% vs 95.8%)が報告されていますが、効果が出るまでの時間はやや長め(中央値で約9分 vs 約1分)です。緊急性の高い症例を対象にした研究では、アポモルヒネの方が初回投与での成功率が高く、吐き始めるまでの時間も短かったという報告があり、状況に応じて使い分けています。

なお、催吐薬としては国内で「トラネキサム酸(トランサミン)」もよく使われています。臨床研究では8割以上の高い成功率が報告されている一方で、まれにけいれんやアナフィラキシー(急なアレルギー反応)といった副作用の報告もあります。当院では、こうした副作用のリスクを踏まえ、トラネキサム酸は積極的には使用せず、比較的安全性の高いアポモルヒネとクレボルを中心に対応しています。

副作用について

  • アポモルヒネ: 鎮静、興奮、心拍数や呼吸数の増加、体温上昇などがみられることがあります
  • クレボル(点眼): 目の充血やまばたきのけいれんのような動きがみられることがあり、嘔吐がやや長引きやすい傾向があります
  • 共通: まれに嘔吐が長時間続く(遷延性嘔吐)、吐いたものが気管に入ってしまう誤嚥・誤嚥性肺炎、食道や胃の粘膜を傷つけてしまうことがあります。嘔気が続きそうな場合は、吐き気を抑えるお薬(制吐薬)で効果を打ち消し、症状を落ち着かせます

催吐が成功しても、誤飲したものすべてが出たとは限りません。必要に応じてレントゲン検査等で残存の有無を確認します。

猫の場合: 催吐薬に頼らない方針

猫は犬に比べて、アポモルヒネやロピニロールなどの薬剤への反応が乏しく、催吐処置自体が難しい動物です。海外の報告でも、猫で使用できる薬剤(アルファ2作動薬など)の成功率は5〜8割程度にとどまり、鎮静や血圧・心拍数の低下といった影響を伴います。そのため猫の誤飲については、催吐にこだわらず、内視鏡による確認や外科的な摘出も含めて、その子の状態に合った方法を一緒にご相談しながら決めていきます。

催吐だけでは対応できないこともあります

催吐処置は体への負担が少ない反面、万能ではありません。誤飲したものが完全に出てこないことや、繰り返し吐き続けてしまう、吐いたものが気管に入ってしまうといったリスクもあります。催吐での対応が難しい場合や、催吐がそもそも適さない状況では、内視鏡での確認・摘出が選択肢になります。実際に内視鏡を受ける場合の流れや、当院でどこまで対応できるかについては、別記事「犬・猫の誤飲、内視鏡による異物摘出の流れと当院の対応」で詳しく解説しています。

当院でのご相談

誤飲が疑われる場合は、様子を見ずにまずはお電話でご相談ください。催吐が適しているか、消化管内視鏡での確認が必要かは、誤飲したものや経過時間、全身状態によって異なります。誤飲直後の応急対応については別記事「犬・猫が誤飲したら?今すぐの応急対応と受診の目安」もあわせてご覧ください。

はじめてご来院の方は 初診の患者さんへのご案内 もあわせてご覧ください。初診問診票を事前にご記入いただくと、当日の受付がスムーズです。

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