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クウ動物病院 動物内視鏡医療センター  TEL: 06-6967-8668
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外科 #胆嚢摘出術 #内科管理 #腹腔鏡

犬の胆嚢の治療、内科管理と手術という選択

公開日: 2026年8月吉日 / 執筆・監修: クウ動物病院 動物内視鏡医療センター

聴診器をうける犬

「うちの子の胆嚢、これから治療が必要かもしれない」——基本編では、胆泥症・胆嚢粘液嚢腫・胆石症の違いや、それぞれ放置した場合に起こりうることをご紹介しました。ここでは、実際に治療を検討する段階になったとき、どんな選択肢があるのかを整理します。

内科管理という選択肢

すべてのケースで手術が必要になるわけではありません。胆泥症の多くや、無症状で見つかった胆石症は、経過観察が中心になります。この場合、定期的な超音波検査で状態の変化を確認しながら、悪化の兆候がないかを見ていくことになります。

胆嚢粘液嚢腫についても、内科的な経過観察が検討できる場合があります。ただし、それはあくまで内容物の多くがまだ液状で、重力に沿って動く段階の早期例に限られます。粘液が固まって胆嚢の内腔を占拠してしまった段階まで進んでしまうと、内科的な管理は推奨されません(Gookin et al., 2025)。「内科管理でいけるかどうか」は自己判断せず、超音波検査での状態評価をもとに判断していくことになります。基本編でも触れた通り、症状の有無だけでは進行度を正確に判断できないため、経過観察を選ぶ場合も、獣医師と相談しながら適切な間隔で再評価を受けることが大切です。

手術のタイミング

手術が視野に入ってきたとき、多くの方が悩まれるのが「いつ手術に踏み切るか」というタイミングの問題です。海外の報告では、症状が出る前の段階で、全身状態を整えた上で計画的に行う「待機的手術」の死亡率は約5%であるのに対し、破裂などの症状が出てから急いで行う「緊急手術」では17〜23%まで上がるとされています(Gookin et al., 2025)。この差には、緊急手術では十分な準備の時間がないまま、全身状態が悪化した状態で手術に臨まざるを得ないことが関係していると考えられます。

そのため、経過観察中に粘液の状態が進行してきた場合や、手術が現実的な選択肢として見えてきた場合には、「症状が出るまで待つ」のではなく、状態が落ち着いているうちに手術のタイミングを相談しておくことが、結果として体への負担の少ない対応につながります。

こんな症状に気づいたら早めにご相談ください
  • 元気がない、食欲が落ちている
  • 嘔吐が続く
  • お腹を触られるのを嫌がる(腹痛のサイン)
  • 白目や歯茎、皮膚が黄色っぽくなる(黄疸)
  • おしっこの色がいつもより濃い黄色〜オレンジ色になる

特に黄疸やおしっこの色の変化は、胆汁の流れが滞っているサイン(胆管の閉塞など)である可能性があり、比較的緊急性の高い所見です。様子を見ずに早めにご相談ください。

手術が必要になったら

症状がある場合や、進行が疑われる場合、内科管理の適応から外れる場合には、手術(胆嚢摘出術)が選択肢に入ってきます。海外の報告では、外科的治療を受けた症例の方が、内科管理のみの症例より生存率で有利な傾向が示されていますが、症例の選択自体にバイアスがある可能性も指摘されており、一概に「手術が常に優れている」とは言い切れません(Parkanzky et al., 2019)。それぞれの子の状態に応じて、方針を相談しながら決めていくことになります。

手術方法には、大きく分けて2つのアプローチがあります。

開腹手術

お腹を大きく切開して胆嚢を摘出する、従来から広く行われている方法です。視野や器具の自由度が高い一方、切開創が大きくなる分、体への負担や回復までの時間は大きくなりやすい傾向があります。

内視鏡(腹腔鏡)下手術

お腹に数ヶ所小さな穴をあけ、カメラと専用の器具を挿入して行う方法です。傷が小さく体への負担を抑えられる分、対応できる病院・術者が限られるという側面もあります。

胆嚢を摘出しても大丈夫?

「胆嚢を取ってしまって、消化に影響はないの?」と心配される方も多いです。胆汁は肝臓で作られており、胆嚢はその胆汁を濃縮していったん蓄えておく、いわば「貯蔵タンク」のような役割を担っています。胆嚢を摘出した後は、肝臓で作られた胆汁がそのまま少しずつ十二指腸へ流れ込むようになるため、消化機能そのものが大きく損なわれることは基本的にありません。人の医療でも胆嚢摘出術は非常に一般的な手術であり、犬においても、手術後は通常の食生活に戻れることがほとんどです。ただし、術後しばらくは脂肪分の多い食事を控える、消化の良いフードに切り替えるといった配慮が必要になる場合があるため、退院後の食事管理については個別にご案内します。

当院の対応

当院では、体への負担が少ない腹腔鏡下での胆嚢摘出術に対応しています。手術中の状態確認にも工夫をしており、胆管の状態を直接確認できる内視鏡(胆道鏡)や、症例に応じてICG(インドシアニングリーン)という薬剤を使った胆管の評価も行っています。これらの詳しい内容は、別記事「当院の腹腔鏡下胆嚢摘出術、胆道鏡・ICG造影による低侵襲な対応」でご紹介します。

早期相談のすすめ

基本編でも触れた通り、胆嚢粘液嚢腫は、症状の有無と実際の進行度が必ずしも一致しません。「まだ症状がないから」と様子を見続けるのではなく、指摘された段階で一度ご相談いただくことで、体への負担が少ない選択肢を検討しやすくなります。

参考文献

  • Gookin JL, et al. (2025) J Am Vet Med Assoc. 犬の胆嚢粘液嚢腫の診断・管理に関する総説。論文はこちら
  • Parkanzky M, et al. (2019) J Am Anim Hosp Assoc. 胆嚢摘出術/内科管理/併用の長期予後比較。論文はこちら

当院でのご相談

治療の選択肢についてお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

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